『ユメ勉 夢をかなえる英語勉強法』という本を読みました。著者は灘中学・高校で実際に英語を教えられている木村達哉先生、出版社は英語教育に定評のあるアルクです。
内容は大学受験向け参考書問題集のレビューが50ページ弱。中学生と高校生を対象にした英語の学習方法の紹介に100ページ弱の量を使っています。著者のノウハウを二言でまとめれば、読む・聞く・書く・話すの4つの力を同時に高めていくことと、覚えたものを取り込んで、発信することで英語の力が固まるということですね。音読や暗唱や暗写の重要性を至るところで力説されています。たしかにこれだけやれば伸びるよね、というのが率直な感想です。
本の最初のほうで
「週6×中高6年間の授業程度で英語が話せるわけが無い」
「週に英語の授業を20時間くらいは貰えないと割にあわない」
という類の記述がありまして、この主張には大いに納得させられました。
米国の"Foreign Service Language Institute" (日本で言う外務省の研修所に相当)のデータによると、アメリカ人が日本語を勉強し、その言葉を使って差し障りの無い意思伝達が可能となるために要する時間は2,760時間だとしているそうです。アメリカ人と書きましたが、外務省に入って仕事ができるような極めて優秀な人間が平均2760時間必要なのです。中高6年間の授業を真面目にこなす程度で話せるわけがないという著者の主張は結構的を射ているなと感じます。
読んでいて、少し驚いてしまった箇所があります。それは、灘の学生さんは300本くらいの長文を読むそうです。長文と言っても300語くらいの短い物から、1000語を越える長いものまで様々ですが、仮にオーソドックスな500語程度の長文だと仮定して、300本読むということは150000語読んでいる計算になります。勿論読んだら読みっぱなしではなく、何度もCDを聞いて、音読して、暗誦するというのですから……さすが灘としか言い様がないですね。